私は中学時代からずっと、英語の翻訳や通訳の仕事に就くことが夢でした。
それから現在まで、私の辿ってきた道程は、決して平坦なものではありませんでした。
大学時代に就職氷河期を経験しましたが、何とか新卒派遣として社内翻訳や通訳の仕事もさせてもらえるお仕事をさせて頂けたのが、私の大学卒業後の社会人としてのスタートでした。
その後、転職を何度も繰り返し、自分らしい働き方を探し続けてきました。
目指している夢が遥かに遠く感じたため、一時的に英語を使ったお仕事から離れ、IT関連のお仕事をしていたこともありました。
英語学校や塾などでの英語講師のお仕事の経験も積み、現在も続けていますが、私にとって英語講師のお仕事は、帰国子女でもない私の不完全な英語力で、人様に英語を教えるということへの気負いが強く、ストレスが大きいため、英語講師の仕事は、自分のできる範囲内で続けています。
そんな私が心底生き甲斐を感じることができるお仕事は、やはり翻訳や通訳の仕事です。
今日は、今までにさせていただいた中で、一番私にとって思い出深いお仕事について書きたいと思います。
翻訳家や通訳ガイドとして働いた思い出は、私にとってとても大きな心の支えになっています。
私は、今までに幾度となく人様との縁に恵まれ、素敵なお仕事をさせていただくことができました。
息子たちが通っていた英会話学校のアメリカ人の先生が、写真家もしていて、私たちが住んでいる香川県の空撮の写真集を出版するということで、和訳をご依頼いただきました。ジェレミー・ラニグさんという方で、様々な全国ネットでのテレビ番組にも出演なさっている、香川県のご当地外国人です。それは「マイ・リトル・カガワ」というタイトルの写真集で、その写真の数々は、まるでジオラマのような上空からの眺めがとても新鮮な感覚を与えてくれます。ジェレミーさんはとても多彩な方で、英会話学校では動画やゲームなど独自の英語教材を開発したり、ミュージシャンとしても活躍なされています。
又、フランス在住の赤木曠児郎先生という日本人画家の画集の英訳もさせていただきました。赤木先生はフランスの文化勲章を授与されている程の著名な方です。先生のパリの名所の絵に、先生の案内文が付いている画集で、英仏和の三ヵ国語でパリについての深い逸話が添えられた、とても興味深い画集です。私はフランスには行ったことがないのですが、英訳をしながら、すっかりパリに行ってみたくなってしまいました。
私が中学時代に夢見た翻訳家というお仕事を、端くれですがさせていただけるようになるまでに数十年かかりました。諦めさえしなければ、そして努力を続ければ、夢は叶うものなのだと折に触れて感じています。翻訳者として立派な装丁の著書に名前を印字していただけることは、とても光栄なことです。
現在のフリーランスの翻訳家としての主な分野はIT関連なのですが、書籍の翻訳はとても楽しく、達成感も大きいです。これからも機会があれば、書籍の翻訳に携わることできたら嬉しいなと思っています。
そして、通訳ガイドのお仕事も、私の生き甲斐になっています。
今年になって新型コロナウィルスの流行が原因で通訳ガイドのお仕事は全くなくなってしまっているのですが、昨年はダイヤモンドプリンセスが高松港に二回寄港した際に、通訳ガイドのボランティアとして、乗船客を出迎えました。高松での観光を楽しんでくださった外国人観光客の皆さんの感動の声を直に聞くことができ、とても充実したひと時を過ごすことができました。あのクルーズ船が現在あのような悲劇に見舞われていることについては、とても他人事とは思えず、本当に胸が痛みます。このパンデミックができるだけ早く終息し、再び通訳ガイドとしてお仕事ができる日が一日も早く訪れることを祈るばかりです。
少しずつですが、私は最近になってやっと、英語を使った好きな仕事だけをして食べていくことができるようになってきているので、充実した毎日を過ごせるようになってきています。自分らしい働き方を必死で追い求めてきた日々を思い返し、過去の自分に感謝しながら、さらなる高みを目指して日々精進を続けたいと思っています。
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