私の嫁ぎ先の一戸建ては、平屋の母屋と二階建ての離れの二棟あり、主人と息子二人と私の四人は、普段は二階建ての離れの一階で暮らしています。いずれも築数十年経つ、瓦屋根の古民家です。
離れの二階では元々主人の妹さんと弟さんが暮らしていたのですが、二人とも結婚して近所に家を建てて出て行きましたので、空き部屋になっていました。
洋間、和室、キッチンとトイレもあります。
二人の置いて行った物や私達の普段使わない物で二階は混沌状態のまま、ごく最近まで放置されていました。
その二階に、なんと主人が手を付け始めたのです。
断捨離に目覚めた主人はある日突然、次々と妹さんの物を一階の車庫に運び出し始めました。まるで古民家再生プロジェクトのリーダーにでもなったかのような熱意に突き動かされていて、私もびっくりしています。
主人は、妹さんや弟さんの要るのか要らないのか分からない物をほとんど外に出してしまいました。そして主人は、空いたスペースに置くため、私も長い間憧れてきた見せる収納ができる本棚を買ってくれました。
電球が切れていた階段の照明は、ランプごとお洒落な照明器具に買い替えてくれました。
そして、私の永遠のスター、デヴィッド・ボウイさんのポスターを買い、壁に貼り付けてくれました。さらには、ゴールドディスクの額縁まで買って飾ってくれました。主人も私の影響で、ボウイさんのファンになったみたいな勢いです。
私はその部屋に、ボウイさんとの思い出の品々だけでなく、私の大切なものを寄せ集め始めました。私の実家に置きっぱなしだったお気に入りの雑誌、文庫本、CD、DVDなどを、徐々に持ち帰り、綺麗に並べる作業を楽しんでいます。
ギター、ウクレレ、キーボードなどの楽器も、いつでも弾けるように置くことができました。
妹さんの机は頂くことにして、上に埃をかぶっていたデスクランプを拭いて置きました。楽譜を書いたり、読書したり、翻訳をしたり、執筆したり、色々な夢が叶えられそうなデスクができました。そのための時間があるかどうかが最大の問題ですが…。
ある程度整った後、ある休日に子供達も二階に連れて行ったところ、子供達も新しい部屋が気に入った様子で、楽器を弾いたり、歌ったり、踊ったり、私が実家から貰ってきた全身用マッサージチェアに横になったり、いろいろ楽しそうです。最近では、夜お風呂上りに「二階に行こう」と子供達が言い始めているほどです。子供達にあまり夜更かしはさせたくないのですが…。
さらに、主人は観葉植物が欲しいと言い出し、本でイメージを膨らましたりしていたので、私も同意し、早速サンセベリアとポトスを買いました。とりあえずサンセベリアを室内に置きましたが、お部屋の雰囲気がさらにグレードアップしています。主人は、家に放置されていた空っぽの植木鉢に、ポトスを植え替えた翌日、ポトスが元気になったと喜んでいました。
その上主人は、今年の夏に草が生繁っていた庭の草刈りもしてくれたので、庭もすっかり綺麗になりました。
主人にはまだ、キッチンに飾り棚を作りたいとか、フォトフレームを飾りたいとか、色々考えがあるようです。
まるで何かの霊に憑りつかれたような働きぶりのパワフルな主人です。
主人が趣味で集めた天然石のコレクションが、パワースポットになって効果を発揮しているのかもしれません。
まったく、今までの休日寝たきりだった主人とはまるで別人のようです。
いやはや、人間って変われるんだなとただただ感心するばかりです。
こういうことも、結婚の面白さなのだろうと最近つくづく感じています。