私は、大学卒業後、ずっと海外移住を夢見ていました。
何とかして英語力を活かして外国に住んで働きたいと願っていました。
でも、一体どうやってその夢を叶えれば良いのかが分からず、孤独に悪戦苦闘していました。
海外留学したくても、東京の大学を卒業させることで精一杯だった親からは、それ以上の経済的な援助は望めませんでしたし、私自身にも経済力はほとんどありませんでした。
それでは外国で働ける仕事を見つけようと考えたのですが、私にはそれがとても困難でした。おそらく、仕事の種類を選り好みしすぎていたのだと思います。
外務省の仕事も応募してみたい気持ちもあったのですが、勇気が出ず行動が伴いませんでした。
それで、視野の狭い私がせいぜい考えついたのは、日本の教員免許を取得し、日本語教師のアシスタントとして、海外で働くことでした。
私は、大学を卒業してから何年も経った後、学習塾などでアルバイトをしながら、通信教育で教員免許を取得することにしました。
いざ教員免許を取得を目前に控え、海外駐在の学習塾教師の仕事にも応募したものの、成果は得られませんでした。
日本語教師のアシスタントの仕事も、外国で一人で暮らすことへの不安が募り、結局は行動力が伴わず、諦めてしまいました。
失意の中、私を支えてくれたのは、学習塾の教え子たちが私に分けてくれた希望でした。彼らは、私がそれなりに努力して質を高めてきた授業を高く評価してくれました。
「先生のおかげで英語が好きになれました。」
「私も先生のようにどんな質問でも答えることができる教師になりたいです。」
そんな彼らが私にくれた感謝の言葉は、私に、教師としてだけでなく、日本で日本人として生きていくことの価値を、教えてくれました。教え子たちが私に人生の転機を与えてくれたのです。
外国への雄飛の夢は、次第に、日本で英語力を使って働く夢へと、形を変えていきました。
そして、良縁にも恵まれ、結婚して、普通の日本の家庭の母親になりました。
今は教師の仕事を諦め、家族や育児が中心の生活をしていますが、それでも、たまに英語力を活かしたお仕事も頼まれることが、生きがいになっています。
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